好きな『“石”の詩(2)』~山尾三省~
好きな『“石”の詩(2)』
~山尾三省~
最初にご報告です。
マイリストに、
リンクをつけることが出来ました。
情報をお寄せいただいた方、
ありがとうございました。
この場でお礼を申し上げます。
2回目は山尾三省さんです。
惜しくも、2001年8月28日、
62歳で亡くなられました。
屋久島に居を据えた、
現代の聖者とも思えるような方でした。
『石の随筆アンソロジー』で、
私が企画した2番目に、
山尾三省さんの「ジョーがくれた石:地湧社」所収の
「僕の石」を置きました。
「ジョーがくれた石」には、
副題として“真実とのめぐり合い”が添えられており、
12編が収められている。
“第一部 彼岸”として
「花崗岩片の話」、「ジョーの石」、「尼蓮禅河の砂」、
「霊鷲山の赤石」、「ポカラの鉦叩き石」、
「東大寺三月堂の裏木戸の石」、
“第二部 此岸”に
「一湊川の二十畳岩」、「ラーがの丸石」、
「諏訪之瀬御岳の溶岩のかけら」、「つつじのそばの石」、
「順子が拾ってきた石」 、
そして「僕の石」がある。
『序にかえて』に、
以下のような、
私を虜にするような一節がある。
「(前略)僕が取り上げた石は、
どこに出もあり誰でもが出会っているはずの、
そこらにあるごくありふれた石ばかりである。
しかしながらそのごくありふれた石が、
ありふれた石のままで金剛のような輝きを持つことが、
人生にはないわけではない。
それは言葉をかえれば、
出会いという真実が、
この世にあることを示している。
旅とは、出会いの旅にほかならない。
なにに出会うのかといえば、
自分自身の自己に出会うのである。
(中略)『石』をモチーフにしたけれども、
僕が求めているものは『石』そのものではない。
それは第二部において少しずつ姿を現してくるのだが、
『故郷性』という言葉で呼ばれるべき風景であったはずである。(以下略)」
山尾三省には、多くの著作があるが、
『新羅万象の中へ:山と渓谷社』の二十七編中の一編「石の時」で、
石に惹かれるようになった経緯が述べられている。
「ぼくが石に興味を持ちはじめたのは、
二十六、七歳のころからだったと思う」
という書き出しで始まっている。
最初の、古い時代の瓦のかけらとの出会いに触れ、
「それが、最初で、以後折に触れて、
訪ねた場所の石を拾うことがぼくの生き方の一部になったが、
それは石自体の美しさを拾うというよりは、
訪ねた場所のスピリットを石とともに持ち帰り、
日常生活の精神的な糧としてささやかに祀るためであった」
また、旅に出るときに屋久島の花崗岩を三個か四個持って行き、
喜んでくれる人にだけプレゼントするのだという。
「ぼくが旅に持って出るのはそれで、
その石は少なくとも
地上千五百万年の時間を秘めていることを伝えて、
神話力のある人にはプレゼントすることにする」、
「それを物語として受け止めるか、
ただの小石として見過ごしていくかはもとより各人の勝手だが、
ぼくは生き方として、そこに物語を見、
さらには神話をさえ読むことを好むのである」
さて「石の詩」であるが、
『アニミズムという希望~講演録・琉球大学の五日間~:野草社』の中に、
見つけたものである。
“第十五話 日月燈明如来”にある。
石
石は
終わりのものである
だから人は 終わりになると
石のように黙りこむ
石のように孤独になり
石のように 閉じる
けれども
ぼくが石になったときは
石はむしろ 暖かいいのちであった
石ほどあたたかいものはなかった
あまり暖かいので
そのままいつまでも
石でありつづけたいほどであった
事実ぼくは 一週間ほどは石であった
石は終わりのものではない
石は はじまりのものである
石からはじまると
世界はもう崩れることがない
なんでもない「石」に惹かれている者、
「孤独」というものを大切に考えている者に
勇気を与えてくれる詩である。
詩の後に続く文章の一部です。
「どのような石であれ、
何万年何千万年という時間をもっているわけですから、
その長い時間のもっている力というものがあります。
その石の限りなく深い力をもらうことができます。
時には自分を石に化する、
化石じゃなくて、石に化する。
午前中に、
野口体操の身心論ということを少しお話しましたけれども、
心身を石に解き放ってみるということも、
決して悪いことではないと思います」
私も、これから実践してみたいと思っています。
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コメント
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投稿: Tyrese | 2007年3月27日 (火) 07時02分
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投稿: Nestor | 2007年4月 6日 (金) 12時17分
山尾三省生誕70年祭実行委員会と申します。
三省さんのことを書いておられたので、もしかしたら興味がおありかと思い、近づいているイベントについてお知らせさせてください。
今週の土曜日(2008年10月11日)、三省さんの生誕70年を記念して、東京で「アニミズムという希望」というイベントを行います。三省さんにゆかりのあるかたたちによる、フリートーク、シンポジウム、コンサートなどを午後2時から8時にかけて、お茶の水の全電通ホールにて行います。三省さんの思想をつないでいこうという想いで実現することになりました。出演者など詳細については、野草社のホームページにちらしがありますので、ご覧ください。
http://www.shinsensha.com/
また、翌日12日まで、神田のspace NEOにて三省さんの回顧展も催しております。場所は、東京都千代田区神田小川町2-10-13 御茶ノ水ビル1Fです。
最終日12日は夜7時から、参加者が読む詩とミュージシャンによる即興演奏のコラボレーションイベントもあります。こちらは地湧社のホームページに詳細がありますので、ご覧いただければ幸いです。
http://www.jiyusha.co.jp/topics.html
以上、イベントのお知らせでした。
どちらにお住まいのかたか知らずに書いています。場違いな話でしたら、ご容赦ください。
ありがとうございました。
投稿: 山尾三省生誕70年祭実行委員会 | 2008年10月 9日 (木) 22時23分
山尾三省生誕70年祭実行委員会です。
コメントの掲載、ありがとうございました。
おかげさまで、東京で行われた山尾三省生誕70年祭の参加人員は400名を超え、大盛況のうちに幕を閉じました。三省さんを知るかたがたのお話や歌・音楽などは、その気持ちと思想が重なり合って、みなさんの心に伝わっていったと感じています。とてもよかった、感動した、との声も多く聞かれました。
同時開催の回顧展にもたくさんの人が訪れ、三省さんを知らないかたたちでさえも、その著作や記事などから興味を持って長い時間過ごされる姿を多く見かけました。
こうして三省さんの思想や気持ちがたくさんの人に伝わり、世界がよりよい方向に向いていくきっかけになれば、うれしいことだと思っています。
ありがとうございました。
投稿: 山尾三省生誕70年祭実行委員会 | 2008年10月14日 (火) 20時58分