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2005年11月19日 (土)

『愛知発 巨石信仰』

 旅をすると、思いがけない書物との出会いがある。

 9月、4人目の孫が生まれたので、
徳川家康が生まれ育った愛知県岡崎市に、初めて行った。
 名鉄線東岡崎駅で、少し時間があったので、
構内にあった岡崎書房に入った。 

 そこで、『愛知発 巨石信仰』に出会った。
素晴らしい本に心がふるえた。

 全国に流通していない本である。
旅先でないと決して手に入らない本である。
平成14年8月発行で、発行者は『愛知磐座研究会』となっている。
研究会は9名で構成されている。
写真が豊富な、445頁もある簡易な箱入りの本である。

 「まえがき」を一部、紹介しておきたい。
「巨石信仰は、原始時代から始まり、
元来自然の大きな岩を崇め奉った風習をいう。
岩は長く残るので現代までも信仰の続いている所もある。
(中略)巨石信仰はまた、殆どがあまりにも古い話なので、
現代人から無頓着にされていることが多い。
山の中とか海岸などに、名前のついた岩が沢山見受けられるが、
それらは昔から謂われのあったものであろう。
(中略)巨石信仰の記録は少ないが、
月日を重ねて調べてみると対象物は非常に沢山あることが分かった。
従ってとても全国までも掲載することは出来ないので、
愛知県内を主に取り上げ、
それと関係するような県外のものは一部分だけに止めた。(以下略)」

 次に、目次を要約してみる。
   第一編  磐座(県内の磐座33カ所、県外の磐座27カ所)
      第二編  環状列石(県内の環状列石6カ所、県外の環状列石16カ所)
      第三編  岩壁(県内の岩壁15カ所、県外の岩壁4カ所)
      第四編  岩神(県内の岩神35カ所、県外の岩神10カ所)
      第五編  岩屋(県内の岩屋12カ所、県外の岩屋3カ所)
      第六編  雨乞い石(県内の雨乞い石6カ所、県外の雨乞い石2カ所)
      第七編  船石(県内の船石3カ所、県外の船石3カ所)
      第八編  腰掛・物見岩など(県内10カ所、県外3カ所)
      第九編  金勢様(県内11カ所、県外4カ所)
      第十編  鏡岩 (県内7カ所、県外3カ所)
      第十一編  その他の磐(県内29カ所、県外10カ所)

    県外のものには、私が住む町の巨石も取り上げられており、
とりわけ愛着が増した。

  ところで、随筆集『石と在る』の中の1編「石・自然・社会」に、次のような部分(一部改変)がある。

 “岡山県総社市上秦【かみはだ】に、
延喜式神名帳にある式内社
『石畳(いしだたみ、又はいわだたみ)神社』がある。
 そして、そこには、
実に見事な神社のイワクラ(磐座)としての巨岩がそそり立っている。
私は、この風景を見るのが好きで、たびたび近くに行く。
また、これまで岩の頂上付近まで何度か上ったことがある。

 そこからは、流域の生きとし生けるものの命をはぐくむ、
高梁川のうねった流れを一望することができる。

 ここに来ると、いつも、
大きな大地の懐に抱かれている気持ちとなり、
さらには、この地に住んだ、
はるかなる過去の人々との、
絆も実感でき、気分が一新する思いがする。

 古代祭祀研究家の薬師寺慎一氏は、

『祭祀が語る古代吉備』で次のように記している。
 「(前略)高梁川は、古代の人々にとって、
水運とかんがいの両面において、
極めて大切なものであったに違いありません。
その高梁川が大きく曲がる地点、
つまり、上流から流れて来た川水が岸に当たる地点に、
そそり立つ巨岩(石畳神社)は、
大事な川の祭祀を行うのに格好の
神のヨリシロであったと考えられます。(後略)」

 
 数年前、行きつけの古本屋で、
珍しい「磐座」に関する本に出会い購入したことがある。
本の題名は「古代祭祀跡 吉備の磐座」で、
吉備地方を中心とした、
県内各地に散在する101箇所の磐座(いわくら)を、
写真と手書きの地図で紹介し、
それに由来を考察した文章を添えた、
自費出版本(原稿作成平成元年、印刷発行平成四年)である。
 腰巻きのように表紙に、
『今「いわくら」が面白い』とあり、
見開きに「いわくらを見にいってみませんか」とあるのが、
著者(佐藤光範)の、
磐座への強い愛着を表わしているように思える。
 古代からの、人と石の神聖な関係を残し続けている磐座は、
現代人にとってもまたとない癒しの場となるし、
愛石・敬石への格好の入り口となりはしないか。
 本書にとりあげられているいくつかの場所は、
私も時々訪れて、元気を回復する場である。
まだまだ、行ってみたい所がいっぱい残っている。   

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コメント

はじめまして。巨石を検索していて見つけてしまいました。私も石好きです。
こういうHPもありますよ~
http://sora.ishikami.jp/

投稿: ウメコ | 2005年11月29日 (火) 13時02分

投稿: Chad | 2007年4月16日 (月) 09時47分

 見て頂きましてありがとうございました。
 お孫さんが沢山で結構なことです。
 磐座からの声
 “寺が出来はじめたころから儂の前に神社が出来て、日陰者にされて儂は少々怒っているように見えるはずだ。縄文時代からの祀り場だったのだから、現代人はもう少し大事に扱ってくれても良いと思っている。大木もご神木としてヒモロギの扱いを受けたが、何しろ彼たちは生き物だから代変わりしている。その点石はその名の如く「意志が硬く」そのままだが、所によって削るやつが居る。これには参った!。」

投稿: 中根洋治 | 2007年7月28日 (土) 09時50分

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